続・新撰組と妖狐ちゃん!


スパーンッ!!!


「…土方、火薬の匂いがする。」


「…朝の第一声から何言ってんだテメェ。」


あたしが勢いよく襖を開けると、
寝ていたのか、布団から上半身を起こした土方が気だるそうにこちらを見た。


…。


「…真似すんなクソ。」


「何がだよ!?」


起きた時のシチュエーションが
あたしと全く同じなんだけど!?


「…まぁ、そんな事は置いといて、」


「…何だよ意味分かんねぇ…」


頭を書きながら、
あくびをする土方←


緊急事態かもしれないというのに、
何と呑気なんだコイツは。


あたしが顔を引きつらせていると、
土方が顔をしかめながら言った。


「…何なんだよ、こんな朝早くに…。
…つーか、これ朝か?
外まだ暗いんだが。」


そう、まだ全然暗いのだ←
時間的には明け方か?


「…まぁ、夜に近い朝だな。」


あたしが外を眺めながら言うと、
なんだそれ、と土方は布団に潜った。


…。


「…いや、何で潜るんだよっ」


あたしが布団を引っぺがそうとするも、


「…うっせーな、
俺は朝は低血圧なんだよ。
もーちょい寝かせろ。」


布団をがっちり掴んで離さない←


…。


「…って、自分で朝っつってるじゃん!
低血圧なうなんだろ!?朝なんだろ!?起きろよコノヤロー!!」


あたしがグラグラと土方を揺らすと、
土方は眉間にシワを寄せて、
閉じていた目を開いた。


「…うるせーな。
何。誘ってんのか。」


「…。」


…なら、喜んで。
とか言って身体を起こした土方に、
気絶しない程度に腹パンを食らわした←


寝起きなので、冗談か冗談じゃないのかが分からないのが、恐ろしい←


「誘ってる??
テメェを目覚めへと誘ってんだよ、
早く起きろアホ!」


「…いってーな。
何だよ、用なら早く言え。」


低血圧でイライラしている土方に、
テメェのせいだろボケ!!と言ってやりたかったが、きっとまた無限ループなので、此処はぐっと堪えた←


「…火薬の匂いがするんだよ。」


…。


「…寝る。」


「寝るなぁあああああ!!!」


あたしは再び布団へ潜ろうとする土方の襟首を掴んだ←


すると、土方は怪訝そうな顔をして、


「…昨日の花火の匂いなんじゃねぇの。
ちゃんと風呂入ったか?」


「入ったわボケェ!!!
これでも一応女なんですけど!?
身だしなみ、気を使うんですけど!?」


あたしが襟首を掴んだまま、
ガクガクと揺すると、
土方はふーん、と鼻を鳴らし、
まじまじとあたしを見て、
ニヤリと口角を上げた。


「…じゃあ、ちゃんと服着てから来いよ。テメェも寝起きのままだぞ。」


ほら、と手を伸ばした先には。


…。


「ぎゃああああ!!!
見んな、触るな、近づくな!!!」


「…いや、テメェが掴んでるから、
離れようにも離れねぇんだけど←」


土方の手の行きつく先を追うと、
寝たせいでぐしゃぐしゃになった
あたしの着流しの胸元が←

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