カタキに恋をした。
それだけは避けなければならない。
それだけは─────…
秋斗「カズサ、大丈夫かい?
酷い怪我だと聞いたよ、誰にやられたんだ?」
どうせアンタの仕業なんでしょう。
白々しい。
時雨「おかしいですね、楓に家族やそういった情報は一切無かったはずですが。」
秋斗「そんなもの、いくらでも消せるじゃないですか」
陸「じゃあなんのために?」
秋斗「…。」
筏井秋斗は笑いながら黙っている。
気色悪い、いつもニコニコと…
誠「だんまり、ですか。」
秋斗「実はね、私がカズサに会うのは6年ぶりなんですよ。
久々の兄妹との対面に水を差すのは、野暮じゃありませんかねぇ。」
介「今回の件、もしかして仕組んだのアンタなんじゃないの?
だったらアンタと楓ちゃんを2人きりにするわけには…」
時雨「介。
…行くぞ。」
介「でも、時雨…」
時雨「楓の兄貴なんだろ。
だったら俺達が入るべきじゃない。」
陸「…失礼。」
そう言って皆はゾロゾロ斗帰って行った。
足音が遠ざかって聞こえなくなると、筏井秋斗は喋り出す。
秋斗「…クク、クッ…!
聞いたか?今のセリフ!
生ぬるい家族で育った奴の言いそうなことだ…!」
本性が出た。
6年間も私を放っておいて、もう諦めたのかと少し希望も抱いたときもあったけれど。
「やっぱり、監視して研究してたのね。」
秋斗「ああ。
お前が狂ったように人を半殺しにする様はとても私を興奮させたよ~…!
でも、もう飽きた。
お前のことだ、楓に手を出させないように私の欲求を満足させようとしたんだろう?
それももう終わり。
研究は一区切りしたし、そろそろ次の段階に踏み出さないとなぁ。」