はるこの遅咲☆妄想日記
「こんなことまでスミマセン・・・」ゆうくんはそれでもめげずに洗濯物を干し始めた。

「あんなに仲良かったのにな・・・」

それは去年のクリスマスの日。

私は恥もはばからず、部屋で酔っぱらってそのまま彼と・・・。

その声は大きすぎたのか、ゆうくんにバッチリ聞かれてしまった。

「すごい喘いでたよな・・・」

「ウソっ・・・本当に・・・?」

お隣さんならまだしも、上の階のゆうくんにまで聞かれてたなんて恥ずかしい。

「ねぇ・・・本当は聞き耳立ててたの?」

ゆうくんは答えてくれない・・・。

「実は私も、毎朝、毎晩、ある日課があるんだ」

「なになに・・・?」

「ゆうくんが出かけるときも

帰ってくるときも

階段上る音。聞くのが日課。結構、落ち着くんだよねー。」

一緒に住んでなくても聞こえる生活の音

それはたとえば、アパートの階段を上がる音だったり

部屋の中を歩く音

トイレを流す音

なんかすべてが聞こえて、いつしかそれは私を安心させていた。

「キモいな。それ・・・」

「そんなことないよ。あー今日も、生活してる~って思えるの」

「そうなんだ・・・」

「行こう・・・」ゆうくんはそういうとベランダに置いてある自転車で

「買い物・・・ってか、陽に当たったほうがよくない?おまえ」

「う・・・うん」私は慌ててパーカーを羽織ると久しぶりに外の空気に触れた。

「うわ。気持ちいいね」

「そうだよ。ほら。

そう言うと、ゆうくんは自転車の後ろに私を乗せ走り出した。

近くの河川敷を自転車で進む。

風を切って走って行くのはなんて気持ちがいいのだろうか。

私はゆうくんの腰にぎゅっと腕を回して掴まった。

「元気だせよ。」

「うん」

ゆうくんの優しい一言に私は元気が出てくる。

「ゆうくんみたいな人がいると嬉しい」

「そっか・・・じゃあ、もうちょっとあそこに住むかな。」

「え?なにそれ・・・?」

それ以上、ゆうくんは話さなかったけど

私たちは、青空の下でこうして自転車に乗って

春の穏やかな道を進んでいた。

ゆうくんの背中はあったかくって

私は、1週間ぶりに癒されていた。

「ありがとう」

恋の傷が癒えるまで

少しだけこの人に甘えてもいいかなって

そんな気分で

私はその背中に寄り添い

そっと目を閉じた



~はるこメモ~

2階の彼が世話焼いてくれるなんて・・・そんな現実あったらいいですよねー。

ガサツ女子にはたまらない。ゆうくんみたいな男子に甘えてみたいです。

自転車の後ろ・・・心地よさそうです・・・ハイ・・・(*^。^*)







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