クビガナイ。



「それから裏山の墓地へ行くと
“神隠し”にあう
と言われるようになったらしいよ」

紫月が話終わった頃にはみゆはもう
ボロボロ泣いていた。

「小学校ん時は怖いと思ったけど
今聞くとそれほどね、」

確かに怪談といえば怪談だけど、
思ってたのとは少し違った。

不思議な話。

「もぉぉ…こんな話しても
何もいい事ないのにぃぃ…」

みゆは泣いてるけど…
首の無い死体…不気味だなぁ…。

「じゃあさー、」

綾希が口を開く。

「行こうぜ、今から裏山!」
「えぇっやだっ今の時間見てよ!?
1時半過ぎだよ!?もうすぐ2時なのに…
みゆは絶対嫌だっ!」
「え、良いじゃん、
俺すげぇ行きてぇんだけど」

隼人が賛成した。
まぁ確かに気になる…好奇心。

「…私も…行ってみたいなぁ…」
「えっ莉沙まで…」
「…俺も気になる…かな…」
「紫月も…?
…何もこんな時間じゃなくたって…」
「思いたったらすぐ行動!」

みゆには悪いけど…
皆で裏山に行く事になった。
肝試しも兼ねて。

皆が玄関で靴を履き替えてると
2階で寝ていたみゆのお母さんが降りてきた。

「喉乾いちゃって…
あら、皆でどこか行くの?」

なんだか裏山に行くと
言ってはいけない気がした。
ただの勘だけど。

「コンビニ行ってくる!」

有衣はそう言った。

嘘だけど…それでいいと思う。
夜中に裏山に行くって言っても
絶対にいい返事は帰って来ないもんね。

有衣の家から裏山までは歩いて30分くらい。

有衣の家は駅の近くにある。
最初は駅やコンビニの光があったけど、
裏山に近付くに連れて暗くなっていく。

「暗いじゃんよぉ…」
「そりゃあ夜だもん。
大丈夫よ、皆いるんだから」
「ん〜…」

皆寝静まっている時間。
静けさの中に有衣とみゆの声が浮き上がる。

「暗すぎない?
懐中電灯持って来ればよかったね」
「じゃあ莉沙こっちおいで」

隼人に言われた通り、
隣に並ぶ。

カチッ…ボッ……

ライターの光を灯して私に笑いかける隼人。

「みゆもこっちおいで」
「うん」

カチッ…ボッ……

「なんだよお前ら。
俺と有衣には燃え盛る愛の炎があるから
そんなの必要ねんだぜ?なっ有衣♡」
「うるさい、暗い、ライター灯して。」
「はい。」

カチッ…ボッ……

真っ暗な道に揺れる3つの小さい炎。
裏山についた。

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