満月~full moon~
「え、めずらしいな」
思わず、そう呟いてしまった。
そう思ってしまうほど、珍しい人からのメールだった。
俺は、そのメールを読みながら、静かにこの場を離れた。
それから、夜になるのを待って、指定された場所へと急ぐ。
「来たけど、何でこんなところ?」
指定された場所に着いた時には、すでに相手が来ていた。
そもそも、ここに呼ばれる理由が分からない。
指定されたのは、ビルの屋上だ。
これは偶然なのか、2度と来たくはなかった場所だ。
なぜならここは、美佳を呼び出し、自殺に追い込んだ場所だから。
知ってか知らずか、呼び出した相手は、まさに美佳が立っていたフェンスのところに立っていた。