満月~full moon~
「ここは、あなたにとって来たくない場所だったでしょうね」
なんの感情も持っていないかのように、冷たい口調で言う。
そして、今まで見たことがない感情。
睨みつけるようなキツい眼差し。
それを見て、ようやく気付いた。
1番最初に気付かないといけないことだった。
女性にここへ呼び出されるなんて。
彼女がそうだなんて、思わなかった。
だけど、さっきの言葉を考えると間違いない。
「君が、美佳の妹か?」
そう彼女に聴くと、口元が緩み、不敵に笑った。
「そう。あなたたちが殺した、美佳の妹だよ」
彼女は、淡々と言った。