満月~full moon~
その言葉は、自分が志保たちを殺したと認めたようなものなのに。
彼女の表情は、怖いぐらいに変わらない。
「どうして、俺たちが殺したと?」
「あたしが、この目で見ていたから」
その答えも淡々と言っている。
「お姉ちゃんの様子がおかしくて、あとをつけていた。
あたしは、このビルの下で見ていたの」
そう言って、彼女はビルの下を指さした。
見られていたなんて、気付かなかった。
妹の存在も知らなかったから、誰かに見られている可能性なんて考えもしなかった。
「確かに、俺たち5人が殺した。それは、否定しない。
だけど、一つだけ聴いてほしい」