満月~full moon~
見られていたことを、今更否定するつもりはない。
それこそ時間の無駄だろうから。
だけど、この時に絶対言うと宣言した。
この事件の発端である、黒幕の存在を。
「何を言うの?
許してくれとでも言いたいの?
それとも、助けてくれって言う?」
相変わらず、表情を変えずに言う。
やっぱり、俺は殺されるためにここに呼ばれたんだ。
でもそれは、志保が殺された時から覚悟していたこと。
だから、助けを請うつもりはない。
そのため、首を振りながら否定する。
「違うよ。
今言った通り、確かに殺したのは俺たち5人だ。だけど、この事件にはもう1人……黒幕がいるんだ」
静かに、ゆっくりそう言った。