小指も抱けない彼女

「夜鞠くんなら、返してくれると信じているよ」

「……」

彼女は、何でもお見通しだ。君が他と繋がる手段なんか、壊してしまいたかった。なのに未だに存命。電源だけを切って、彼女のバックに戻してある。

「夜鞠くんは、私の嫌がることしないもんね」

「買いかぶりだ。聖が思う以上に、俺は最悪の人間なんだよ」

「最悪な人間は、こんなもの買って来ませーん」

と、最後のプレゼントを彼女は開ける。

正確には、コンビニの袋を漁り。

「夢にまで見たプリンー!」

と、自分の倍以上あるプリンに抱きついていた。

「やっぱり夜鞠くんは、最高の彼氏なのです!」

満面の笑みを浮かべる彼女こそが、最高であり最愛なんだ。

ただただ愛していたいだけなのに、異常と自覚する行動が目に付く。

普通に愛せない。
普通以上に愛しているから。
普通が異常になるほど、愛してしまった。

自由に羽ばたく蝶こそが美しい。けれども、鍵のついた箱の中にいる蝶が愛しい。

愛しいからこそ、どこにも行かせたくないし、誰にも見せたくないんだ。


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