小指も抱けない彼女
ーー
『プリンをお腹いっぱい食べたい』との願いは、三分の一も食さずにして叶う。
あげるーと、差し出されたプリンは、本当に甘く感じられた。高いから?いいや、違うとはプリンを完食した後に気付く。
「俺、甘いもの苦手だったんだよね」
満腹で寝落ちする彼女に対して話す独り言。
出来上がったばかりのベッドで寝かせ、布団をかけた。女児の人形遊びもこういった感じなのかとは、愚問だ。人形だなんてとんでもない、この温かさは彼女からしか味わえない至福。
だからこそ、俺の生活、思考、嗜好でさえも彼女よりになっていく。彼女を優先に考え、行動し、その笑顔を見て、『ああ、これは幸せなことなんだ』と知る。
甘い食べ物の良さは、彼女が『美味しい』と言うのだから、『そうに決まっている』、『そうでなければならないんだ』。彼女が好きなものは、俺も好きだ。ーーでも。
「他の奴の前で笑う君なんか見たくないから、ね」
彼女の願いが叶っても、以前として小人であることに安堵した。
やっぱり、俺のせい。
これで君は、ずっとここにいられるね。