小指も抱けない彼女

「なら、嫌いになった?」

「帰して」

「答えになってないよ」

「今の夜鞠くんとは、一緒にいたくない。帰して。こんな姿でも、お母さんなら何とかやってくれるだろうし」

「なってない」

「だから、帰して」

「……」

それが、答え。
俺と離れたい。俺がいなくてもいいと、彼女は言う。

「ーークッ」

なんで、さっきから笑いが込み上げてくるんだか。

号泣してもいいのに。嬉しくなんかないのに、腹部の捻れに合わせて、ギチギチと口から漏れていくみたいだ。

「俺は、聖のこと愛しているよ。ーーどんな姿になっても」

部屋の隅から、ゴミを吸う稼働音が聞こえる。


「離したくなんかない。だから、帰さない」

言い切った本音。彼女に嫌われたくないから我慢していたのに、もう、限界だ。

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