小指も抱けない彼女
必死に生きようとする姿。藁をも掴む状態とは、今の彼女に相応しい。
唇を歪ませずにはいられない。藁よりも、もっと確実な物がいると言うのに。
「聖、分かっているよね?」
君の唯一は、誰か。
「君は、俺がいなきゃ何も出来ない。赤ん坊と同じだ、世話する奴がいないと生きることもままならないのだから」
潤んで、俺を見上げる瞳が愛らしい。また今も、君は俺のことしか考えていないよね。
「そうして、俺以上に君の世話役に適任な奴は他にいない。きっと、今の君を見たら誰もが気味悪がるだろうから。
俺だけだよ、こうして今の君でも愛し続けていられるのは」
人間が小さくなる異常性を、誰が受け入れられるのか。母親も、友人も、きっと君の姿を受け入れず、嫌悪するだろう。だって、俺以上に君を愛する奴なんか他にいないのだから。仮にも話、俺は彼女が例え虫になろうが、変わらずに愛せる。隅から隅まで、愛し尽くしてもいい。
異常と自覚している分、普通(周り)の奴らとは一線を画す。俺以上にと、酔いしれてしまうほど、俺は周りと違う。
おかしいのは、俺。
けれども、彼女を大切にしたい気持ちは確か。
そうして、もう一つ確かなことは。
「ねえ、分かるよね?今の君が一番必要な奴は誰か。その誰かに何て言えばいいのかも、ね」
彼女の特技は、俺を喜ばせること。
こんな俺でも、彼女は身を預けてくれる。