小指も抱けない彼女
「……」
泣かれる。
背を丸めて、手を伸ばしたのは反射に近い。
「夜鞠くんは、なんて言えば、満足するの……?」
「同じことを繰り返してくれればいいよ。いつものように、君の気持ちを聞かせて」
「無理だよ」
涙を拭う指が、震える。
小さな抵抗をされた。けれど、心に大きなダメージがあった。
拒絶、された。
指を払われた。
嫌われたんだ。
「な、ん……で!聖は、俺のことっ」
柄にもなく取り乱す。
馬鹿みたく喚いた。
怒鳴りたくなんかない、なのに、声帯が破裂するかのように膨れ、舌に乗って彼女に浴びせられる。
どんなに彼女に嫌われても、俺の気持ちは変わらない。よりいっそうに彼女に愛されたくて。
「たった一言でいいのに……っ、無理だなんて、そんなっそんな!」
上限が見当たらない想いが暴走する。足先の彼女は泣いていた。でも、唇を噛み締め、声は上げない。
鼻をすすり、自身で涙を拭く彼女。またこれか。涙の一つも拭かせてくれないだなんて。