小指も抱けない彼女

「言葉にしなきゃ、気持ちは伝わらない。相手の心なんて読めないから言葉が欲しい。分かるけど、分かりますけど!言っても言ってもきりがないじゃないっ、ですかぁ。二人で住みたいの断っても、大学続けていても、夜鞠くんとずっと一緒にいなくてもっ、わた、私は夜鞠くんのこと好きなのに!

ずっとずっと思って、夢にまで出てくるほど好きでいるのに!どうして信じてくれないのっ!


言葉にしなきゃ伝わらなくても、あなたに引っ付く私見て分からない!?相手の心読めなくても、私はあなたの気持ちが手に取るように分かるよ!

夜鞠くんは、私のこと好きでいてくれるって、安心しているのに!だから、だからだからー!離れていても、こんな姿になっても、夜鞠くんは変わらないって一緒にいたのにーっ」

心臓が止まったかと思えば抉られ、今度は縮まる。そのほとんどが、的を射ていて。

彼女を信用していないわけじゃないのに、俺の今までの行動はなんだ?

何万回好きと言われたところで、満足しない。よりいっそうに彼女を求める俺はいったい、何で満足出来るんだ?

「私があなたの部屋にいて、外にも出ずに、あなたの帰りを待ち続ける人形みたくなればいいの!?そんなのやだよっ、夜鞠くんが私のために何かしたいように、私もあなたに何かしたい!あなたに頼り切きった人生なんてイヤっ、私もあなたに頼られたい、いざって時に支えになりたいのに、お座敷の人形じゃ何も出来ないよ!」

それは、いつかの答え。
てっきり、俺が頼りないから、彼女は一人で生きたがっていると思ったのに。

俺はいつから、彼女が離れていく想像をしてしまったんだ。

離れていく想像をしたからこそ、そばにいてほしかった。彼女の唯一になりたく、事ある度に彼女の想いを確かめたがった。そんな前提(想像)、有り得ないのに。

「そのためには、いろいろ学ばなきゃならないのっ。大学卒業して、社会に出て、家事もきっちり学んで、どれもこれも、外に出なきゃ分からないことなのっ。夜鞠くんは何でも出来るかもしれないけど、きっといつか、私が頑張らなきゃいけない時が来るだろうから、そのための準備で色々やんなきゃーー外で、あなたのいないとこで、あなたがいなくて寂しくても、やんなきゃいけないことがあるの!

あなたのためなら頑張れるって、そんな気持ちになるからやり遂げられる。あなたを好きじゃなきゃ、やっていけないことなの!」



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