小指も抱けない彼女
(八)
常識に非常識を持ち掛ければ、異常者扱いされる。
彼女を元に戻す。
俺の願いにより、彼女が小人となったのならば、口に出した瞬間に全てがいつもに戻ると思ったが、無理だった。
ネット内でこういった事例を探そうにも、ほとんどが創作。「嘘だと思うかもしれないが、信じてくれ」の虚偽ばかりで話にならない。
最終手段として、病院に連絡した。
近場の総合病院。夜間でもって取り合ってくれる場所であるが。
「こちらでは承りかねますので、ひまわり精神病院に明日、赴いて下さい。診察時間はーー」
思っていた通りの答えには、舌打ちをするしかない。
「嘘だと思うかもしれないが、信じてくれ」、これに尽きる。誰も信じやしない。
百聞は一見にしかずに習えば、明日にでも彼女を病院に連れて行けばいい。否応無しに誰もが信じるが。
「お茶の間のマスコットになっちゃうね」
苦笑いをする彼女とて、信用できない相手に姿を晒す意味を理解している。
世にも珍しい生物が現れれば、決まってニュースになり、そうしてどこかの施設にて調べられるとの流れは目に見えている。果たしてそこで、聖は元の姿に戻れるのかは愚問だ。
小さいからこそ調べたくなる聖を、治す方向性で見てくれるわけがない。
最終手段の病院だが、やはり連絡しなければ良かったと深い溜め息をつく。