難プリ(難アリ王子様)
「ココからはちょっと歩くんだ。ごめんね」

運転手さんと別れて、森の中の階段を上ってゆく。

時刻は昼前だというのに、生い茂る木々に遮られて、薄暗い。

「ギャアッ、ギャアッ」
「きゃあっ!?」

近くで野鳥が不気味な鳴き声を上げた。

驚いた私は、隣でエスコートしてくれていた白笑さんの腕にしがみついてしまった。

「――あ、ごめんなさい・・・!」
慌てて離れたけど、白笑さんは優しく笑って、
「いいよ。こんなトコロを歩かせてゴメンね。――さぁ、どうぞ」
と、手を差し出してきた。

少し戸惑いながらも、その手を取る。

こういうところは、ちゃんと王子様っぽいのにな、と、貴子ちゃんやその他が惚れる気持ちもわからんでもない。

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