私のお人形
「うるさい、黙れ!」

いつの間にか助手席に移動していたセーラがチャックに飛び掛る。

チャックも負けていない、セーラの髪の毛をごっそり引き抜いた。

金髪の束が運転席に散らばる。

「セーラ、ユリちゃんの魂がほしいんだ。純粋無垢な魂を手に入れて、人間になるつもりだろ」


――え?

そうなの?

セーラは私の魂で人間になろうとしてたの?



「いい加減なこと言うな! チャック、黙れ!!」

チャックはやめなかった。

へらへらと笑いながら、話し続ける。

「セーラは封印されてた子。地下室の倉庫の中に閉じ込められていた子。おまえはどうやって出てきたんだ?」

セーラはなんとかチャックを黙らせようと必死だ。

チャックの顔に噛み付き、爪で手足をひっかき、ダメージを与えようとする。
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