ダブル・ブレイカーズ01
<え――――――>


現実感のない空間に、さくらは絶句した。


<――――――君>


さくらは少年に言った。


すると、


<誰だ、君は>


少年は冷徹な声で言った。


<えっと――――――>


<七瀬さくらか>

少年は呟いた。


<えっ?君、あたしの名前を―――?>


<カナが言ってた。依頼人の名前は覚える主義だ>


<カナ?>

<漆黒の髪の探偵だよ>


<如月彼方――――――>


<そう。カナ>


<何でカナなの?>


<如月彼方。彼方だからカナ>


<へぇ>


さくらは少年の言葉に頷く。



さて、一方彼方は、


<七瀬さん、悪い>


と彼方はお盆に飲み物と御菓子を入れ終わった。

<七瀬さん?>


さくらの姿はない。


<――――――――――――>


彼方は青ざめ、


<まさか!>


と、お盆を持って階段を登った。
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