ダブル・ブレイカーズ01


<君は誰?>


さくらは少年に尋ねた。


<――――――――――――>


少年は無言で本を読む。


<聞いてる?>


<――――――――――――>


<あのね!>


<うるさいよ。七瀬さくら>


<君!>


さくらが言った。


その時、


<やっぱり>


と、如月彼方がお盆を持ちながら現れた。


<如月くん―――――――――!>


<あ、カナ!>


少年は彼方に言った。


<よっ!>


彼方も少年に言った。



<おやつの時間だね>


<元気だなぁ>


<補食も重要なものだよ?何?おやつは>


<バームクーヘン>


<紅茶?>


<アップルティー>


<よし、休む>


少年は文庫本を閉じた。


<――――――――――――>


さくらは二人のやり取りを見ているだけだった。


<あ>


さくらは気づいた。


彼方が持っていたお盆。


そこには、


三つのカップがあった。


彼方と自分と、


そして、この少年に。
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