異世界で家庭菜園やってみた
 馬車で考えていたことを話そう。

 悠里の言葉に勇気をもらい、アシュラムは一度深呼吸した。

「父上」

 国王が小さく身じろいだ。

「罪を許してほしいとは申しません。父上に対して犯した罪は、どのようにも償いましょう。けれど私はただ分かって頂きたかっただけなのです。父上に、私があなたの子であるということを」

(アシュラムさんが泣いている)

 涙を流してはいないけれど、心の中で泣いている。

 父に分かってほしいと、声を上げて泣いている。

 幼子のように……。

「神殿に入ることは私の義務だと分かってはおりました。このような力を持って生まれた以上は、そうするのが当たり前だと。けれど……私は父上と親子として親しみたかった。離れていても互いに肉親の情を分かち合い、この国の行く末を共に案ずることを許して頂きたかった。だが、私たちはいつしか臣下よりも遠い関係になってしまっていた。どこですれ違ってしまったのでしょうか。……私をお産みになってすぐに母上が身罷れたことが原因ですか」

 切々と訴えるアシュラムの言葉は、その場にいたすべての人の心を打った。

 宰相も近衛兵たちも、この時初めて彼の孤独を理解しただろう。

 ただ一人を除いて。

 変わらず冷めた目をアシュラムに向ける国王は、「言いたいことはそれだけか」と言った。

 思わず悠里が声を上げたほどに素っ気ない言葉だった。

 アシュラムも言葉をなくしている。

「言いたいことはそれだけかと問うている」

「……」

「ならば近衛兵、縄を持て。国王への反逆の罪で、アシュラム・デュ・ロッセンを投獄する」

「!」

 アシュラムの肩が震えた。

(まずい)

 ウリエルが駆け寄ろうとした時、アシュラムが腕を振った。

 近付いていた近衛兵が、次の瞬間壁に激突していた。

 呻き声を上げ悶える彼らには目もくれず、アシュラムが一歩玉座に足を踏み出した。

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