異世界で家庭菜園やってみた
(大人な対応、大人な対応…‥)

頭の中で、呪文ように唱えながら歩いていると、向こうからやって来る人があった。

あの人に聞けば、どうやって四阿に戻ったらいいのか分かりそうだ

だんだん近付いて来るにつれ、その人が侍女服を着ているのが見えた。

もしや、侍女頭ヨハンナに言われ、悠理を探しに来たのかと思ったが、どうやらそうではないらしい事が程なくして分かった。

「あなたは日本の方ね」

突然声を掛けられ慌てて振り向くと、丘の麓にある大きな木の下に机と椅子が並べてあって、その一脚に老婆は座っていた。

彼女も明らかに日本人だった。

「ああ!もしかして、コウメさま!?」

この世界で、悠里の他に日本人がいるとしたら、コウメさまだけだ。

彼女に会う事は、とてもハードルが高いことのように思っていたため、こんなにあっさり会えるなんて驚きだった。

コウメさまが悠里を手招きしている。

それに釣られるように、悠里は一歩一歩コウメさまに近付いて行った。
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