キミさえいれば
その後も自己紹介は続いていたけど、何も耳に入らなかった。


さほど広くない生徒会室の中に、私と真ん中にいる彼だけになったような気さえした。


ずっと、ずっと会いたかった。


夢にまで見るほどに。


一日だって、あなたのことを忘れたことなんてない。


まさか、こんなところで会えるなんて……!


「次、あなたの番よ」


トントンと肩を叩かれビクッとして右を見ると、隣に座っている女子が私の顔を覗き込んでいた。


「あなたが自己紹介する番よ」


にっこりと向けられた笑顔に戸惑いつつ、私はゆっくりと立ち上がった。


「1年3組、白石凛です。書記担当です」


そう言って座った途端、チャラ男と短髪が盛大な拍手をした。


もし真ん中にいるあの人が“彼”なら、私の名前を聞いて何か反応を示すはず。


気づいただろうか。


そう思って彼を見てみたけれど、その人は涼しい顔で書類に目を通していた。


どうして?


もしかして、違うの……?
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