キミさえいれば
「凛、お父さんの子になるか?

そうすれば、もう離れなくてすむよ」


お父さんの言葉に、私の頭の中はぐるぐるとめまぐるしく回っていた。


確かにお父さんの子になれば、お父さんとも先輩とも離れないで済む。


でもそうなると、母さんはどうなってしまうの?


私の為に家を出た母さん。


大好きなお父さんも、あの家も、大切なものを全て捨てて私を守ってくれたのに。


「そうしたい気持ちもあるけど、母さんも心配だよ。

母さんが一人になるのは、やっぱりかわいそう」


離婚って残酷だ。


だって、子供は親を選べない。

 
親は一人じゃないんだもの。


お父さんもお母さんも、どちらも自分の親なんだから……。


「確かに複雑な問題だね。

どうにかお母さんを説得出来ればいいんだけど。

お母さん、今度ここに来ないかな?

お父さんから話してみてもいいけど」


お父さんの提案に、うーんと考え込んでしまう。


「お母さん、多分来ないと思う……」


母さんの性格からして、行くと言うとは思えない。


「あっ、お父さん。

母さんのお店に行くっていうのはどうかな?」


「あぁ、そうか。

お父さんがそのお店に行って話をすればいいんだ」

 
それならきっと、ゆっくり話せるはず。


「わかった。お父さん近いうちに、お母さんのお店を訪ねるよ」


お父さんの笑顔に、私はこくんとうなずいた。
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