キミさえいれば
「洋二さん、甘いわよ……」


「え?」


私の言葉に、一瞬動きを止める洋二さん。


「私が直接見たわけではないんだけど、ここのお店のママが見ていたの。

凛と保が、手を繋いで歩いているところを……」


私の言葉に驚くかと思ったのに、少し呆れた顔をされてしまった。


「まぁ、あの二人は昔から仲が良かったからねぇ。

久しぶりに再会して、嬉しかったんじゃないのか?」


思わずガクッと力が抜けそうになる。


どうしてこの人は、昔からこうも呑気なのかしら。


7つ年上のせいか、私はいつも子供扱いされて、何を言ってもハイハイと軽くあしらわれて来た気がする。


全然変わらないのね、この人は……。


「とにかく、引越しは中止しないわ。もう決めたの」


一番の奥の席に座るお客様がカラオケを歌い始め、一気にお店が賑やかになる。


そのお客様に軽く視線を向けた後、洋二さんは私の顔を真っ直ぐに見つめて来た。


「実は凛がね、僕や保と離れたくないって言って泣くんだ。

僕はね、その凛の願いを叶えてやりたいって思うんだよ」


意外な言葉に目を見開いた。


「それって、どういうこと……?」
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