キミさえいれば
「凛の親権を、僕に譲ってくれないか?」


洋二さんから出た言葉が予想外過ぎて、頭の中が真っ白になった。


「何を言ってるの?」


凛の親権を?


「そうすれば凛は、また保と兄妹に戻れて、離れないですむじゃないか」


私は手に力が入るのを感じていた。


「何言ってるの?

それじゃあ今までやってきたことの意味が、全くなくなってしまうじゃない。

あの二人を近づけちゃダメ。

間違いがあってからじゃ遅いのよ?」


ずっと昔からそう言ってるのに、どうして洋二さんはわかってくれないのかしら。


「栄子、考え過ぎだって。

単に仲が良いだけだよ」


「ううん、私はそうは思わない。

あの二人を一緒に暮らさせたら、とんでもないことになるわよ。

私にはわかるの」


絶対ダメよ……。


絶対に……。


「じゃあ、争うしかないね」


「え……?」


争う?


「家裁に申し立てる」


「なんですって?」


思わず声を張り上げしまい、近くのお客さんにぎょっとした顔で見られてしまった。


「どうしてそんなことを?」


お客様の目もあり、私は声を落とした。


「僕は凛の気持ちを尊重してやりたいだけだ。

それがイヤなら、引越しを取りやめて欲しい」


そんな……!

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