キミさえいれば
未成年でこうなるって、本当に無力なことだと思ったわ。


妊娠は彼だけの責任じゃない。


むしろ年上である私が、きちんと対処するべきだったのよね……。


何を言っても聞く耳を持たない父に、私達は泣く泣く赤ちゃんを諦めるしかなかったの。


同意書にサインを書かされている彼を見た時には、胸が張り裂けそうだったわ。


それからは毎日のように、沢山沢山泣いて。


もう、そのまま死んでしまいたかった。


その後、私は大学受験に無事合格して。


彼とは遠距離になってしまった。


しばらくは電話や手紙のやりとりをしていたけれど。


久しぶりに会うと、私はあの悲しい記憶が蘇ってどうしようもない。


彼は彼で、私の父に罵倒されたことが忘れられない。


なんだかそのうちうまくいかなくなって……。


悲しいけど、別れてしまったの。



あんなことがあった相手だからこそ、


いつかは彼と一緒になりたかったのに……。


やっぱり赤ちゃんを失ったことは二人にとって、とてつもなく衝撃的なことだったの……。
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