キミさえいれば
私ってね、一人っ子なの。


きょうだいがいたら良かったなって、小さい頃からずっと思っていたけど。


母親は私が物心ついた時には、離婚して既にいなかったし。


それは叶わぬ夢だったわ。



私の父はね、今の黒崎建設の前社長なの。


忙しい人だったけど、たった二人の家族だし。


それなりに、仲良くやってたはずだった。


だけどね、妊娠を告げた時の父は。


何を言っても、全く聞く耳を持ってくれなかった。


その理由はこうだった。


私の父は、自分の会社を私に継がせたかったのよ。


だから私には大学にもきちんと行って欲しいし、


婿養子にするなら、それなりに信頼出来る家柄の人を……と思っていたようなの。



私の彼は心優しい真面目な人だったのに。


高校生なのにそんな行為をすること自体、信用出来ないって言って。


彼の人柄なんて、



全然見てくれなかったの……。
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