ハート交換
ただ、この場を逃げ出したい。それだけだった。



「修一君、ハナシテ。」



小さな声でそう言うのがやっとだ。



「嫌だ。絶対離さない!俺は君に4年間も片思いしてたんだから。今さら・・・今さら晃には渡せないよ。」



そう言うと修一は、さっきより一層強くなみかを抱きしめた。



「やめて。晃君は関係ないでしょ。」



修一の心臓の鼓動が激しく聞こえる。



私は力なく言った。



4年間・・・・今、この人は何ていったの?そんなに前から・・・そんなに前から私のことを見ていたの?



その時、ふっとある光景が頭を過った。



あれはいつだったか。掃除当番をみんなに押し付けられた日のこと。



ゴミ箱を焼却所まで一人で持っていき教室に戻ろうとしたら教室の前で男の人にすれ違ったっけ。




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