【短編】恋しちゃダメですかっ?
次の日


学校の帰り道、ことねは、誰にも見つからないように、ひそひそと病院にむかっていた。


校門をでてから、後ろに人の気配を感じていたが、やはり、誰かにつけられているような、そんなような。

2つの影がいったりきたり。


おもいきって、くるっと後ろに体をむけてみた。


木の後ろに隠れる二人。


だいたい想像はついたが、それでも知らん顔で、すたすたと歩きだす、ことね。

もう一回おもいっきり、くるりと回り、慌てて隠れる二人を見つけた。


「み〜つ〜けた。」


「みつかっちゃったぁ。」

「まゆみ、ルカ、なんでついてくんの?」


「だって、ことねの行動おかしいよ?あやし〜いじゃん!!」


「別に…普通だけど。」


「ことねちゃんはいったい、どこにいくのかな?」


「家にかえるんだよ。みてわかるでしょ。」


「家とは反対方向ですけど〜?」


「これは、男の匂いがする。」


「まさか、私、彼なんて、いましぇ〜ん。」


怪しい眼差しで、ことねを上から下まで見る、まゆみとルカ。


「だよね〜ことねに男、いるわけないよねぇ〜。」


「だって、私たちにもいないんだから〜。あははっ。」

声を合わせる二人。


「私、急いでるから。じゃあね。」


二人が目を合わせている間に、全力で病院とは反対方向に走りだすことね。



まゆみとルカは追い掛けることもできずに、まだその場に目を合わしたままだった。




よし、第一関門突破。


私は足だけは早いんだから。


しかし、自分で言うのもなんだけど

見事な、まきっぷり!

見事な走りっぷり!



随分、遠回りしたけど、やっと病院にたどり着いた。


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