【BL】生まれ変わって会いましょう。
もう学校には行けないと悩んでいた俺に父さんが言った。
“桃園学園でなら平穏に過ごせるはずだよ。”
そう言っていたのに……。
「父さんの嘘つき……」
どこが平穏なんだよ!!
全然変わってないじゃん!
“ああ、美味しそうな匂いだなぁ…”
目の前の妖怪はニタァと笑い、唾液を垂らす。
うぅ…気持ち悪い。
笑った口から覗く牙。
黄色く飛び出した眼。
黒い闇のような塊の体。
形があって形がない、それが妖怪。
ジリジリと妖怪が近付き、反して俺は後退する。
トンっと背中が壁にぶつかった。
“逃ーげられない逃げられない。さぁ、どうする?”
残念ながら俺は見えるだけで、特別な力はない。
今までも逃げ続けるだけだった。
妖怪が大きな口を開ける。
“いただきまーす”
あーあ、ここまでかぁ。
なんて覚悟を決めた瞬間、教室のドアが音を立てて開いた。