今日、君が結婚します
寛子に言われたように罪悪感はなかったけれど泉美の存在を気にしなかったわけじゃない。


でも、泉美は私の存在すらなかったんだ。ただ、彼女の中で私は邪魔者。



しかも、それまでは諦めていたのに私と付き合った途端に欲しくなったなんて人のものになったら欲しくなるなんて・・・。



そう思ったら堪えていた涙を抑えられなかった。ドアをパタンと閉めた途端にその場に蹲る。


嗚咽を漏らしながらただ泣きじゃくる私の背中を撫でて立ち上がらせてくれた大和くんに支えられて泉美の家を後にした。



せめて、もう二度と同じことをしないでほしいとだけ願いをこめて。
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