彼が虚勢をはる理由
ハルの"交通事故"発言に思わず突っ込んだ私に、ハルは苦笑する。
「まぁ、香苗が抱えている問題なら、香苗が解決してかなきゃ、どうにもなんないしね。頑張れ、香苗。何かあったら言うんだよ」
「分かった、ありがとうハル」
それじゃ、と片手を上げて去るハルを見送ってから、私は掃除中の筈の教室内を覗き込む。
既に掃除は全部終わっていて、机は綺麗に整頓されていて、夏野君をはじめとする掃除当番の人達は誰一人として教室に残っていなかった。何故か関係ない人ばかりが教室に残っている。
「嘘でしょ!?」
もう一度確認してみるけど、夏野君の姿は既に無いし、夏野君の荷物も消えている。
頷いてくれたのに、先に帰られた!?
「ねぇ! 夏野君、何処に行ったか知ってる?」
「え? 知らない。先に帰ったんじゃない?」
適当に捕まえたクラスメートに聞いて、返事が返ってきた瞬間に御礼を言って走り出す。
夏野君を探さなきゃ!
そのまま昇降口まで走って行って、まずは夏野君の下駄箱を確認する。
既に夏野君の上履きが放り込まれているのを確認すると、私は急いで靴を履き替えて、そのまま学校を飛び出した。
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