ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
『愛してる』
それが、『お金を用意できる私』にのみ 向 けられた言葉だとしても、私はとても 嬉し かった。
ミチに必要とされていること。
ミチに愛をもらえること。
すぐに壊れる、一瞬の幸福感。それでも 満 足だった。私にはミチしかいないか ら。
それから私は、借りた10万円を消費者 金 融に返さなくてはならなくなった。
バイト代は決して少なくないけれど、毎 月 5千円ずつ返すのが精一杯だ。
完済まで、あと何年かかるんだろう。考 え ただけで気が遠くなりそうだった。
ミチの冷たい態度は、私をますます執着 心 の塊にした。
ミチがいないと生きていけない。
借金してもいいから、仲良く過ごした い。
私だけのミチでいてほしい。
どこにもいかないで、ミチ。