ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ

ここ1週間、サイトにはアクセスしてい ない。小説のネタがないからだ。

書こうと思えば書けるけど、『ありきた り』だと辛口評価をされるのが目に見え ているし、過去の体験も参考にならない と分かってしまったので、どうしようも ない。


ある書き手さんは、『友達に頼まれて、 友達の体験談を小説として書きました』 と言っていたけど、私には、そこまで仲 の良い友達はいない。

昔、大学生活を描いたドラマがやってい た。主人公の女性が、友情に恋愛に、充 実した日常を送るといった内容で、時に は人間関係のいざこざに巻き込まれなが らも、周囲の人達との絆を強めるとい う、感動的な作品だった。

小中学生の頃、特別に親しい人もおら ず、ひとりでいることの多かった私は、 大学でなら友達を作って楽しい日常を送 れるのだと、夢を膨らませたものだ。

勉強はあまり好きじゃないけど、ドラマ のような大学生活に憧れて今の大学に 入った。けれど、2年生になった今で も、非リア充(リアルが充実していない 人を示す言葉)なこの有り様。

ため息をつくと、ますます幸せが遠のき そうだ。分かっていても、大きなため息 をついてしまう。


バイト先で、暇な時間帯。

制服のポケットに忍ばせたケータイを見 ながら、カウンターでまたひとつ、大き く息を吐く。次には、あくびが出た。
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