一度きりの誓いを



 急な話で私はレストランに腰をかけてからまた苦笑いを浮かべる。

 そしてウエイトレスさんが伺ってくるのを都合に話を変える。


「あっ、これ美味しいんですよ。私これで」


 メニュー表のパスタの写真を指差しウエイトレスに言うと「はい」と返ってくる。


 一方滝川さんは、

「…」

 少し黙った後、静かに口を開いた。

「じゃあ、俺もそれで」


 ちょっと怒らせたかな。

 私はおしぼりで手を拭く滝川さんをちらりと見ると、目があった。


「ん?どうした?」

「あ、いえ…」


 なんだ、気にしてないのか。

 その後も雑談を交えた会話が弾み、お昼の時間はあっと言う間に過ぎる。



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