【完】そろり、そろり、恋、そろり
第7章.マリアージュ ひかり

お祝いの日 side:T

合鍵を渡してからは、週の半分くらいは麻里さんと一緒に過ごしている。俺の家に帰ってきて、俺を見送った後に、麻里さんも出勤していった具合に、鍵を活用してくれている。麻里さんが休みの日は、俺が彼女の家に行く事だってある。


変わったのは1人の時間が格段に減ったことだけじゃない。俺の敬語がなくなったのも大きな変化だと思う。こっちの方が、2人が対等な関係だって自然と実感出来た。対等になりたいなんて、俺のちっぽけなプライドが望む事は麻里さんには内緒にしている。


2人で過ごすことが多くなってから、麻里さんが出勤する俺を見送ってくれる事が当たり前になってきている。今日だっていつものように先に出勤する俺を玄関まで見送りに来てくれた。


「麻里さん、今日は俺遅くなるから」


靴を履きながら、伝えていなかった今日の予定を思い出した。


「何かあるの?」


「ほら、先週結婚式に出席してただろ。その夫婦が昨日新婚旅行から帰ってきていて、仲の良い奴だけで集って改めてお祝いしようって話になった」


「そうなんだ。それはしっかりお祝いして来なきゃなだね」


嫌な顔をされるかと思って聞かれてもいないのに長々と説明したけれど、彼女はにっこりと笑ってあっさりと承諾した。職場の付き合いを否定されるのも嫌だけれど、こうもすんなり送り出されるのは、それはそれで寂しい。


「いってきます」


「……///」


なんだか悔しくて、目の前の彼女を引き寄せて、ちゅっと触れるだけのキスをした。いつもと違う俺の行動に、顔を真っ赤にして口をパクパクさせている彼女に、さっきまでのもやもやは嘘のように綺麗さっぱり消えた。


今日も1日仕事を頑張れそうだ。


軽い足取りで階段を降り、出勤すべくマイカーへと向かった。

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