【完】そろり、そろり、恋、そろり
狭い世の中 side:M
急いでいたからスマホはバックではなくて引き出物の袋へと投げ込んで、すぐに呼ばれた方を振り向いた。目に飛び込んできたのは、スラリと背の高い女性が礼央の傍に立っている姿だった。こちらに背を向けているから、まだ顔は確認できないけど。
とりあえず2人の下へと近づいていくと、礼央が私の事を説明している声が聞こえてきた。
「美沙、今説明した中高での友人の瀧本麻里」
「初めまして、妻の美沙です」
「こちらこそ初めまして」
まだ顔もちゃんと合わせていないのに、すぐに礼央が紹介してしまい、挨拶だけをまずは交わした。そして、下げた頭をゆっくりと上げたところで、やっと彼の奥さんの顔を見ることができた。
「「あっ」」
礼央の奥さんだという女性を私は知っている。彼女もきっと同じ光景を思い浮かべて私の事に気付いたんだろう、互いに顔を見合わせた声を上げ固まってしまった。
「え?何、知り合い?」
知り合いも何も、極最近の記憶の中に彼女の顔はあった。キョトンとしている礼央にどう説明しようかと悩んでいると、彼女の方が先に口を開く。
「礼央さん!大山さんの彼女さんだよ!」
興奮したように礼央の肩をばしばしと叩いている。
「美沙さん、昨日はどうも」
礼央から隣の美沙さんに視線を移して、苦笑しながら改めて挨拶をした。そう、彼女は昨日拓斗君を家まで送り届けてくれた女性。そして、私のもやもやした気持ちの原因になった女性。まさか、こんなに身近な人の奥さんだったとは。
「え、ちょっと待って。どういうこと」
未だに礼央は状況を飲み込めていないらしく、戸惑った顔をしている。そんな礼央を見て彼女と2人顔を見合わせて笑った。
今度は私から昨日の出来事を説明することにした。
「実はね……、」
とりあえず2人の下へと近づいていくと、礼央が私の事を説明している声が聞こえてきた。
「美沙、今説明した中高での友人の瀧本麻里」
「初めまして、妻の美沙です」
「こちらこそ初めまして」
まだ顔もちゃんと合わせていないのに、すぐに礼央が紹介してしまい、挨拶だけをまずは交わした。そして、下げた頭をゆっくりと上げたところで、やっと彼の奥さんの顔を見ることができた。
「「あっ」」
礼央の奥さんだという女性を私は知っている。彼女もきっと同じ光景を思い浮かべて私の事に気付いたんだろう、互いに顔を見合わせた声を上げ固まってしまった。
「え?何、知り合い?」
知り合いも何も、極最近の記憶の中に彼女の顔はあった。キョトンとしている礼央にどう説明しようかと悩んでいると、彼女の方が先に口を開く。
「礼央さん!大山さんの彼女さんだよ!」
興奮したように礼央の肩をばしばしと叩いている。
「美沙さん、昨日はどうも」
礼央から隣の美沙さんに視線を移して、苦笑しながら改めて挨拶をした。そう、彼女は昨日拓斗君を家まで送り届けてくれた女性。そして、私のもやもやした気持ちの原因になった女性。まさか、こんなに身近な人の奥さんだったとは。
「え、ちょっと待って。どういうこと」
未だに礼央は状況を飲み込めていないらしく、戸惑った顔をしている。そんな礼央を見て彼女と2人顔を見合わせて笑った。
今度は私から昨日の出来事を説明することにした。
「実はね……、」