姫様参上!
「まなりん!」
私は健太の声を無視して走った。
戻るなんてやーだよっ!
「まなりん待てよ!」
「まなりんって呼ぶなよ!
大嫌いなんだよそのあだ名!」
本当は大嫌いじゃない。
確かに、鬱陶しいとは思ったことがあるけど、もう呼ばれ慣れたから今更変えてほしくない。
どうして私はこんなに酷いことを言ってるのだろう。
こんなこと言っても、誰も嬉しくなんてならないのに。
私はリビングの裏の戸を開けて部屋の中に入った。
「はぁ……っはぁ……っ。」
全速力で走ったから疲れた。
息がかなり荒い。