姫様参上!

「まなりん!」



私は健太の声を無視して走った。


戻るなんてやーだよっ!



「まなりん待てよ!」



「まなりんって呼ぶなよ!
大嫌いなんだよそのあだ名!」



本当は大嫌いじゃない。


確かに、鬱陶しいとは思ったことがあるけど、もう呼ばれ慣れたから今更変えてほしくない。


どうして私はこんなに酷いことを言ってるのだろう。


こんなこと言っても、誰も嬉しくなんてならないのに。



私はリビングの裏の戸を開けて部屋の中に入った。


「はぁ……っはぁ……っ。」


全速力で走ったから疲れた。


息がかなり荒い。




< 88 / 196 >

この作品をシェア

pagetop