【完】時を超えて、君に会いに行く。
俺は未歩に、未歩に対しての恋心だけは内に秘めたまま、できるだけわかりやすいように全てを話した。
静寂の美術室。
夕日が彼女を、優しく照らしている。
「これが……俺の過去。 俺の正体。 想像と違っただろ?」
自嘲するように、そう問いかけた。
だけど俺を見つめる未歩の瞳からは、予想と反してポロリと一雫の涙がこぼれ落ちた。
急な出来事で、驚いた。
「……よかっ……た……」
「え?」
「彼方が生きていてくれて……本当によかった……」
おそるおそる、ゆっくりと未歩は俺に近づく。
そして、ギュッと俺の制服のシャツを掴み、額を俺の胸に預ける。
まるで俺の心臓が動いていることを、確かめているみたいに。