【完】時を超えて、君に会いに行く。
でも確かに彼方は、いつも陸上部の活動が終わるとすぐに帰ってしまう。
なんでも、家の事情で祖父母と暮らしてるそう。
そんなふたりに負担をかけないよう、彼方はできるだけ、家のことは自分でしたいらしい。
だから私たちは、航と沙奈と3人で帰ることが多いのだ。
同い年なのに、しっかりしてるよね。
なのに航ったら、ワガママ言っちゃって……。
「航。彼方を困らせないの」
私は幼なじみを軽く叱った。
「だってさ。4人で帰りたいじゃん?
いつも放課後どっか寄るときも、彼方だけいねーし」
「彼方だって忙しいんだよ」
「あ。そういえば私も、バイト始めるから一緒に帰れなくなるかも」
航と言い合いしていると、突然の沙奈の言葉に、私の思考はピタリと停止してしまった。
……えっ?