ORANGE SNOW

予想通り、蓮華ときらは二人で炎獄が落ちた場所で息を切らして立っていた。
さくらの水の魔法で地面がぐにゃぐにゃと柔らかくなっており、裸足で飛び出した二人の足は泥だらけだった。

「蓮華、きら。
家に入りなさい」

靴をはきながらさくらは強い口調で言うが、二人は何も言わない。
炎獄の姿は見えず、恐らく傷を負って帰ったのだろう。
だが油断はならなかった。
他に仲間がいる可能性があるからだ。

「蓮華!きら!」

リヴィアスが叫ぶと、ようやく蓮華が振り向いた。
その顔は―――なぜか、今にも泣きそうな表情をしていた。

「なッ…」

「ばっか、なんで泣いてんのよ」

ふわり、と風の魔法で浮いて出てきたセルリアに、蓮華は首を振った。

「わからない…だけど、なんだかあの子が可哀想に思えたの」

< 109 / 123 >

この作品をシェア

pagetop