ORANGE SNOW
「いやあああああああああ」
白い少女に追いかけ続けられ、そして次々に襲ってくる風に蓮華は叫び声をあげた。
どれも掠っているだけだが、精神を追い詰めるのには十分すぎた。
走っていた筈なのに次第にフラフラと歩くようになり―、最終的に地面に倒れこんだ。
そこに、白い少女が見下ろすように立つ。
「…」
ハァハァ、と息遣いだけが響いた。
そして手にためられた炎が目に入り、自分は死ぬんだな、と理解した。
蓮華は最後に、と口を開いた。
「悪魔の子って、なに?
私の力のこと?」
少女の首にかけられた、鎖で繋がれた赤い宝石が一瞬目に入るがすぐに少女の目を見る。
一瞬、少女の目が揺らいだがすぐに虚ろになり、初めて口を開いた。
「私も貴女も、生きてちゃいけないの」
「え…?」
その声は酷く大人びているが、紛れもない少女相応の声だった。