ORANGE SNOW
「大丈夫か?」
「怪我してるけど、生きてる。
生きてた」
さくらの後ろからリヴィアスが現れ、安心したように声をもらす。
同時、後ろを振り向きそこに立つ白い少女を睨んだ。
「うちの子、随分と可愛がってくれたみたいだが。
覚悟できてんのか?」
聞いた事のないようなリヴィアスの低い声に蓮華は驚き声をもらすが、さくらは大丈夫だから、と治癒魔法をかけ始めた。
そんなさくらに蓮華はようやく安心したのか、静かに嗚咽を上げて泣き始めた。
「ごめ…っなさ…」
「謝らなくていいの、怖かったよね。
ごめん、ごめんね、蓮華」
つられて泣き出したさくらにリヴィアスは、少女の睨む目を強くした。
「なんとか言えよ!
何のためにこんな事を…ッ」
「リヴィアリア?」
言いかけた言葉を、ようやく口を開いた少女言葉で飲み込んだ。
少女が言った、その名前は、
『生きなさい』
あの時捨てた、自分の名前。