不器用恋愛
正直、本当に、助かった。
ありがとう、とさえ言いたい気分。
このままこいつの無差別に綺麗な瞳と向き合えば、理性、飛びそうだったから。調子狂う。
彼女はあたしの存在なんかまるで無視して啓吾に話し掛けるのに夢中らしい。
それは仕方ない。
この完璧いい男に対してあたし、守られる様な儚い容姿でもなければ、綺麗にセットする長い髪も持ってないし。
割り込まれた所でそれを眺めるだけで、別にこの光景なんて見慣れたもの。あたしはタバコを消して、席を立つ準備をする。
さっきの微妙な距離は、やっぱりただのアルコールのせいだと軽く笑って。
だって、もうこいつは、こんなにもいつも通り。