恋愛しない結婚




「幸先いいよな」

自分の手柄のように偉そうに笑う奏の横で、私は複雑な思いのまま笑っていた。

当たり前だというように手を繋ぎ歩く奏の様子にはかなりの余裕も感じられる。

「仕事がようやく終わって会社を出たら夢がいて、隣の男にキスされそうになってるんだもんな。あのタイミングで駆け付けた俺って格好良かっただろ?」

……私に、どう答えろと?

確かに……確かに、葉山くんにキスされそうになっていた私のもとに駆けつけてくれて、動けずにいた私を助けてくれた。

それだけではなく、甘く溶けそうな思いを吐き出してくれた。

私だけではない、女の子ならきっと恋人から言ってほしいと思う言葉が次々とその口から落とされて、一発で奏に陥落してしまった私は、本当……簡単で単純な女だったんだな。

けれど、そんな言葉をスラスラと言える奏って、見た目の良さからもかなり女の人に慣れてるって思う。

悔しいけど、今までにもたくさん女の人を喜ばせていたんだろうって思わずにはいられない。



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