恋愛しない結婚
その後すぐに、私と奏は入籍を済ませて奏のマンションで一緒に暮らし始めた。
お互いの両親は、自分の子供がなかなか結婚しないことを心配していたらしく、私たちの気持ちが変わらないうちに、と言って役所に走り、『婚姻届』をもらってきてくれた。
そんな、予想外の流れに戸惑いながらも、私たちはなかなか順調に暮らしている。
奏と愛し合うっていうのもよくわからないし、結婚までに経験しなくてはいけない恋愛のプロセスもすっ飛ばしたけれど、結果が良かったらいいんじゃないかと思えたから決断は早かった。
私と奏は二人とも一緒にいられることが幸せだし、抱き合って眠る時間の大切さもわかってる。
仕事上の関係や、親戚との付き合いとかを考えて結婚式を挙げることにしたけれど、二人で何かを進めるなんて初めてのことだから楽しくて仕方がない。
恋愛の段取りなんて踏まず、なにもかも思い描いていたような順序だてた結婚とは違うけれど、私達には最高に幸せな結婚だ。
そう、幸せ。
「夢は披露宴でアルコール禁止だから。三三九度だけで打ち止めだ」
そんなことを披露宴の打ち合わせで奏からきつく言われたけれど、それでも幸せなんだ。
奏がいれば。
恋愛期間なんてなかったけれど、それでも結婚して、これからいちゃいちゃ寄り添って、幸せになれれば、それでいい。
奏と一緒に幸せになれれば、それで。
【 終 】


