妖精と彼







「……俺の好みのタイプは"俺の俺の感情に気付いてくれる人"なんだ。」







「えっ……」








中庭には誰もいなくて、校舎から聞こえる騒ぐような楽しそうな声が響いている。






二人の間には会話が途切れ、困ったようにうつむく女子と、それを無表情で立ち尽くして見つめる男子。



きっと、今通りかかった人がいたらそう見えただろう。







俺は、目の前の彼女を見つめる。








「そ、そうなんだ……」

そう返答する彼女は、明らかに困惑している。
そして一瞬だけど、諦めがその瞳に浮かんだのを俺は見逃さなかった。




しかし、彼女はコクリと頷いて微笑んだ。






「…私、諦めないから。まずは友達からね!……倉本くん、聞いてくれてありがとね」






「………うん。」








それだけ言うと、彼女は走り去った。
俺は中庭に一人、取り残された。





……だいたい、告白された時はいつもこんな感じの反応だった。
だからもう、慣れている。




「俺の好みは"俺の俺の感情に気付いてくれる人"」と言うと、無理難題を出されたような顔をする。







俺は、そんなに無理難題を出しているんだろうか…?
俺の感情に気付かないのに、彼女たちは俺のどこを好きになって告白しているんだろう…?






失恋というものは、とても辛いものだろうとは想像している。
だけど、やすやすと告白を受け入れるのもどうかと思う。






人から好かれる、ということは決して嫌じゃないけれど……いつもこの時間だけは俺に暗い気持ちにさせた。












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