妖精と彼
「好きです!」
「…………」
「あたしと……付き合ってください」
「…………」
「………あの……聞いてる?」
……聞いてる。
でも、言葉が見つからない。
毎回思うけど…こういう時、なんて言って"断れば"良いんだろう?
結局、答えは分からない。
ひとまず、当たり障りのない返答を選択する。
「……気持ちは嬉しいんだけど…、俺、まだ君のこと全然知らないし。」
「でも…、これから知って行けば良いじゃない!それからでも良いから……」
泣きそうな顔をしているのに、それでも前向きなことを言う彼女。
そんな彼女を見つめる俺に、表情がない自覚はある。
彼女は表情が豊かで、俺とは違う。
それに、恋をしたこともある。
「恋」というのは、とてもドラマ性のある経験だと思う。
その経験をしている人を、俺は純粋にスゴイと思う。
そんな素敵な経験をしている人たちが……俺みたいな、つまらない人間に惹かれる理由がよく分からない。
この星の半数は男だというのに。
それでも、あまり失礼のないように言葉は選ぶ。
「……友達からなら。」
そう答えることで、パッと彼女の表情が明るくなった。
俺も、こんな風に嬉しそうな顔ができることがあるんだろうか…そう思うくらいの笑顔だった。
それでも、釘を刺すことは忘れない。