妖精と彼
それに、姉さんはあまり肉が好きではない。
姉さんが「えぇー?」とか、不満そうにした瞬間に、俺は姉さんに決定権を譲ろうと考えていた。
………だけど。
姉さんは、グッとバッグの持ち手を握った。
「よし、分かった!じゃあこれから立ち食いステーキ食べに行こう!」
「…………」
「……なんで自分で言ったのにビックリしてるの?」
表情や言葉がなくても、姉さんはちゃんと俺の気持ちを読み取った。
それはビックリするだろう。
だって………
「姉さん…本当にステーキで良いの?肉、あんま好きじゃないでしょ?」
「何言ってんの!愛が食べたいものなんだから良いに決まってるでしょ!」
笑顔でそう言うと、姉さんは先に部屋を出て行った。
…………本当に、姉さんは俺に甘いんだから。
何となく嬉しくなって、俺は自室に戻り財布だけ掴んで姉さんの背中を追いかけた。
姉さんをパタパタと追いかける俺の様子を見て、姉さんはクスリと微笑む。
「どうしたの?なんか愛、ご機嫌だね」
「何でもないよ。…あと、ステーキからイタリアンに変更したい。」
「ん?そうなの?……じゃあ、そうしよっか」