妖精と彼
イタリアンは、姉さんの好物だ。
ステーキは適当に言っただけで、立ち食いステーキなんて姉さんには絶対に似合わない。
二人で家を出て、街へと歩き出す。
姉さんは、今日大学で起こった面白い出来事を話してくれる。
学校からの帰り道にも通った桜並木まで来て、俺はあの大きな桜に目を向けた。
外はもうすっかり暗くなっていて、さくらの気配はそこにあるような…ないような…。
いまいち感じ取ることが出来なかった。
昼間のアレは、何だったんだろう…。
そう思いながらも、姉さんの話に耳を傾けた。
久々に食べたイタリアンはとてもおいしかった。
ーーーーーーーーーーー
翌日、俺はいつものように目覚め、早歩きで学校へと向かった。
桜並木を通りかかった時、一番大きな桜の木の下に、さくらが立っているのが見えた。
昨日と同じ服装のまま、さくらはそこに立っていた。
「あ……」
『おはようございます。』
さくらは朝の挨拶とともにぺこりと頭を下げ、ニコリと美しい笑顔を俺に向ける。
そんな笑顔を向けられると思っていなかったから、ビックリする。